弱者と強者の定義とルールとは?

弱者と強者の定義とルールとは?

企業の経営戦略を考えるとき、どこからともなく聞こえてくる「ランチェスター戦略」というコトバ。元々は文字通り「戦争」を勝ち抜くために考えられた一つの戦略ですが、現在の日本では「企業として生き残っていくための戦略」と捉えられています。

 

 

ランチェスター戦略とは

 

 ランチェスター戦略の前に、企業としての能力を考えてみましょう。

現在のような供給過多の時代において「なぜ儲からないのか?」を考えたとき、多くの場合、とてもシンプルな原因を見つけることができます。それは自分と同業者、つまりライバルに負けているからなのです。

 

とはいえ、大きな会社と戦い、小さな会社が負けるのは当たり前。大した戦略も無しにぶつかれば、どんなに一生懸命頑張ろうとも、大が勝ち、小が負けます。文字通り、当たって砕けてしまうのです。

しかし、“戦略”次第では、小が大に勝つことも不可能ではありません。むしろ、戦略さえしっかりしていれば、弱者による逆転は可能なのです。その“弱者が強者に勝つためのルール”、それこそが“ランチェスター戦略”なのです。

 

 

ランチェスター戦略の成り立ち

 

“ランチェスター戦略”と聞くと、海外から広まったことのように聞こえますが、実は日本で生まれた競争戦略です。名前がカタカナなのは、原点が「ランチェスターの法則」という戦争理論だからです。

ランチェスター法則は、第一次世界大戦のときに、イギリス人の航空工学の研究者だったF.W.ランチェスター(1868〜1946)が提唱した「戦闘の法則」です。兵力数(兵隊や戦闘機や戦車など)と武器の性能が戦闘力を決定し、勝敗を決めるというものです。

 

ランチェスター法則はその後、第二次世界大戦中に米国海軍作戦研究班で、さらに研究が進められました。戦闘の法則を「戦争の法則」に発展させたのは、コロンビア大学の数学教授B.O.クープマンらです。このことから、「ランチェスター戦略の方程式」=「クープマンモデル」とも呼ばれています。

第二次世界大戦が終わると、そこで生きていた作戦研究は、数学的・統計的な意思決定の方法として研究されることになります。これをより発展させた理論が、現在の産業界にも広く活用されているのです。

 

 

弱者と強者の定義とルール

 

では、ランチェスター戦略における“強者”と“弱者”とは何でしょうか。

 

  • 強者とは、競合局面において勝っているシェア1位の会社
  • 弱者とは、競合局面において負けているシェア1位以外のすべての会社

 ごく簡単に表現するならば、これが強者と弱者の定義です。

弱者と強者の定義とルール

 

また、強者と弱者を比較する際には“競合局面”というコトバが使われます。ごく簡単に概説するならば、「‘競合局面’とは、全体の力関係では無い」ということが非常に重要であり、

  • 全体が非常に大きく優っていても、その戦いの局面の力で劣っていれば負け
  • 全体としては小さく劣っていても、その局面での力が優っていれば勝ち

ということです。

これは『局地優勢主義』とも呼ばれますが、この考え方こそ、弱者が強者に勝利するための必須ルールなのです。

 

 

ある企業の例

 

では、「局地優勢主義」を分かりやすく、ある企業の例を挙げて説明します。

 

東京都と神奈川県との県境のエリアで、マンション販売などを手掛けるとあるディベロッパーがあります。 この会社の従業員は10数名程度、年商10億円ほどで、その業界内では小さな会社なのですが、ある一定のエリア(某私鉄沿線の2駅を利用可、いずれの駅からも徒歩10分圏内程度)におけるマンシ販売シェアは、なんと80%もあるそうです。それゆえにこのエリアだけは、大手の不動産関連企業も太刀打ちできず、 「この地域で分譲マンションを販売したければ、あの企業と組んで共同販売方式でやる」という他ありません。某私鉄沿線、隣同士の2駅という、非常に狭くかつ極めて局地的なエリアなのですが ここでは年商10億円の会社が、年商数千億円の会社に勝っているのです。

 

つまり、その業界では中小の零細企業だったとしても、競合局面の

  1. 地域
  2. 顧客
  3. 商品
  4. 流通

これらを見極める、言い換えれば

  1. どこの
  2. 誰に
  3. 何を
  4. どのように販売するか

これを間違えなければ、 たとえ大手企業が相手であろうとも勝機は十分にあるということです。

これらを踏まえて考えるならば、弱者は万人受けを狙う必要はなく、「顧客の役に立てる」という信念のこもった裏付けのある商品やサービスを、一部の局面において圧倒的有利に販売できれば良いのです。

 

 

ランチェスター戦略を取り入れた企業

 

誰もが知る大企業では、トヨタ、パナソニック、日本生命、武田薬品などがあります。また、ランチェスターの法則が普及しだした当時のベンチャー企業には、ソフトバンク、エイチアイエス、フォーバルなどがあり、現在では「ベンチャー企業」というコトバが似つかわしくないレベルまで、成長している、つまり勝ち抜いてきた企業です。もちろん、その他 多くの中小企業が結果を出しています。

 

 

経営戦略にランチェスター戦略を取り入れるべきか?

 

ランチェスター戦略とは簡単にいえば、「弱者が強者に勝つためのルール」です。

実際に使う、使わないに関係なく、あなたのビシネスには確実に影響を及ぼしています。目には見えずとも実際に誰もが影響を受けてしまう、それは万有引力の法則のようだと比喩されることもあります。

 

今、あなたの会社が「競合局面において負けているシェア1位以外」の会社ならば、取り入れるべき戦略と言えるでしょう。

次回からは、ランチェスターの詳しい法則や、目標とすべきシェア数値などを解説します。

 

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