ランチェスター戦略 − ビジネスへの応用

ランチェスター戦略 ビジネスへの応用 

大きな会社と真っ向勝負すれば、小さな会社が負けるのは当たり前。戦略無しにぶつかれば、大が勝ち、小が負けます。しかし戦略次第で、小が大に勝つことは不可能ではありません。その”弱者が強者に勝つためのルール”が“ランチェスター戦略”です。

ランチェスター戦略は、戦時中に戦争の法則・方程式として生まれた経緯があるため、前回までの説明では「戦闘力」や「兵力」などという言葉を使ってお伝えしてきました。今回はより分かりやすく、ビジネスに置き換えた用語でご説明します。

コトバの理解

まず、ランチェスター戦略で必要となるコトバです。

第一法則:【戦闘力】=【武器効率】×【兵力数】

             (局地戦、接近戦、一騎討ち戦)

第二法則:【戦闘力】=【武器効率】×【兵力数の2乗】

       (広域戦、遠隔戦、確率戦)

これらをビジネス用語に置き換えると「戦闘力」とは企業間競争においては「販売力」を指します。

一方の「兵力数」とは量的なことを指すため、営業パーソンの数がそのまま当てはまります。営業拠点数や卸・代理店などのディーラーの数、小売店であれば、売り場面積、飲食店や店舗型サービス業であれば、席数に置き換えられます。数値化できる定量的なことなので、捉えやすいと思います。

また、「武器」とは質です。まずは商品力ですが、品質や機能、ブランドイメージや価格や納期、品質を裏付ける技術開発力を指します。サービス業であれば、サービス品質、アフターサービスや保証なども広い意味での商品・サービス力です。営業パーソンのスキルなども、武器として捉えることができます。

そして、これらを支える情報力やそれを装備する情報装備力なども、大切な武器です。このように武器とは数値化しづらいものなので、全体像も捉えにくくなります。

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では、上記の法則を踏まえた上で、小が大に勝つにはどうすれば良いのでしょうか。

小が大に勝つ方法

小が大に勝つには、2つの考え方があります。

1.「武器」の精度を上げて差別化する

まず自社と競合他社の武器を比較する際は、このような7つの基準を設けます。

  1. ハード …商品の性能・機能、技術開発力
  2. ソフト …商品の付加価値
  3. オペレーション …業務スピード、価格、確実性
  4. リレーション …顧客ニーズ対応力、営業スキル
  5. ソリューション …顧客の問題解決、繁盛支援
  6. 情報力 …情報共有、情報運用、情報装備
  7. ブランド …知名度、好感度、信頼性

これら7つの要素で分析、ランク付けを行い、この要素は勝っているが、この要素は負けているというように、全体を客観的に捉えます。すると、どこが勝負のポイントなのか見えてくるはずです。ここが優っているから勝てた、ここが劣っているから負けた、ということが分かってきます。この勝敗を分けるポイントが、重要成功要因です。

兵力の比以上に武器効率(武器性能の比率)を高めれば、小であっても大に勝てます。そして、この武器性能をあげることこそが、差別化となります。

2.「兵力」を集中して局地戦へ

理論上は武器効率を無限大化すれば、たとえ大きな兵力にぶつかられようとも、勝てます。

無限大の武器とは画期的で他が真似できないものです。発明特許、著作権・商標権など、知的財産は法令でそれが守られており、無限大の武器となり得ます。また高度に専門的な技術や、年月の積み重ねによるノウハウもそうそう真似することは難しいので、大きな武器となります。

ただ、こういったオンリーワンの特許や技術を持つことは並大抵のことではありませんし、追随可能な業種ではすぐ真似されてしまいますので事実上は不可能に近いでしょう。それでも武器効率を磨き続けることを止めてはいけません。”

大(兵力数の多い側)は、ランチェスター第二法則で戦えば、敵の武器効率が無限大でない限り、多少、敵の武器効率が高くても勝てます。兵力数が2乗のパワーになるためです。

小(兵力の少ない側)は、第二法則で戦うと、少々武器効率を高めても、まず間違いなく負けます。小は第一法則で戦い、その競合局面において「武器効率×兵力数」が大を上回れば勝てます。武器を磨き、兵力を集中することで勝てるのです。これこそが以前お話しした局地優勢主義であり、結論として、

・大は第二法則で戦うべき

・小は第一法則で戦うべき

ということがわかります。

小=必ずしも弱者ではない

小が大に勝つための戦略であるランチェスターにおいて、小(小さな会社)=弱者 ではありません。

・弱者とは、競合局面において負けている市場占拠率2位以下のすべての企業

・強者とは、競合局面において勝っている市場占拠率1位の企業

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日常会話で、私たちは中小零細企業を弱者と呼び、大企業のことを強者と呼んでいます。しかしランチェスター戦略では、規模ではなく、競合局面ごとに、その立場は変わります。

例えば、ビール業界などはわかりやすいです。ビール市場全体で見ると、アサヒが強者なのですが、商品別で見ると、発泡酒ではキリンが強者。地域別で見ると、北海道ではサッポロが強者。販売ルート別で見ると、酒販店ではキリンが強者です。

つまり、競合局面ごとに細分化すると、弱者と強者の立場は入れ替わるのです。

まとめ

弱者と強者の戦略は180度違います。そして、うまくいかない経営の多くの要因としてあげられるのが、強者の戦略と弱者の戦略が、知らず知らずのうちに混在してしまっていることです。まずは、どのような競合局面を見るべきか、そこでのシェアはどれだけとれているのかをしっかり見極め、戦略を立てるべきです。

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