ランチェスター戦略 7つのシンボル

以前、ランチェスター戦略では「競合局面における敵と味方の力関係で勝敗が決まる」ため、力関係を示す【市場占有率(シェア)】はとても重要性だとお伝えしました。しかし、自社の現状のシェア数値を調べても、その数値が何を示しているのか、どのように判断するべきかを知らなければ、戦略に活かすことができません。今回は、目指すべきシェア数値を具体的に示した「7つのシンボル数値」と、その数値が何を示すのかを、具体的にお話します。

 

 

相対的な目標は、シェア(市場占有率)によって立てる

 

自社の販売戦略を策定する上で、具体的な数値目標は不可欠です。多くの会社では、売上と粗利の目標設定をしていることでしょう。ただ、売上・粗利というものは自社だけの数値ですから、競合他社となる敵との力関係が見えず、‘絶対評価’であっても‘相対評価’ではありません。市場での勝敗は、自社の売上・粗利だけを見ていても分からないのです。

敵を見据えた相対的な目標は、シェア(市場占有率)によって立てることができます。シェアを販売戦略上の目標値に加え、シェアをどこまで取るべきなのか、敵との差はどこまでつければよいのか、どう捉えるのかといったことを押さえなければいけません。

 

ランチェスター戦略では目指すべきシェア目標を明確に数値にし、7つのシンボル数値として設定しています。

【74.9%】【41.7%】【26.1%】【19.3%】【10.9%】【6.8%】【2.8%】 の7つです。

これらは実務上キリのよい数字

【74%】【42%】【26%】【19%】【11%】【7%】【3%】 に変えても問題ありません。

201712-2-2

 

これらのシンボル数値は自社の現在のシェアを把握し、自社を取り巻く競争環境がどういう状況なのかを客観的に位置づけるために役立ちます。次に「いつ(何年後)、○○%を目指そう」とシェア目標を設定する際にも使用します。

このシンボル数値のことを「シェア理論」と呼んでいます。このシェア理論は、1960年代の高度成長期、ランチェスター戦略を構築した故・田岡信夫氏が、「販売目標など立てずともなりふり構わずやっていけた時代、いずれこのような時代は去り、科学的に販売目標をつくらなければならない時が来る」との問題意識のもと、パートナーで統計の専門家であった斧田太公望氏と共に構築したものです。

では、この7つのシンボル数値はそれぞれどういうものなのか、さらに詳しく見ていきましょう。

 

シンボル数値【74%】-上限目標値

この「シェア74%」を確保すれば、この競合局面において、勝ちが確定します。

一見、独占禁止法があるので無理な数値のように思いますが、シェアは競合局面ごとに把握すべきものですので、地域、客内別、販路別となると、独占禁止法は関係ありません。遠慮なく、全力で、この最終目標値の74%を目指しましょう。

なぜ100%を目指さないのかというと、それは、100%=無競争の世界となり、需要が活性化せず、市場規模が縮小することが考えられるからです。競争環境があってこそ、市場規模は拡大し続けるのです。

また、生産財の業界では、なんらかのトラブルがあった際、生産ラインが止まってしまうことから「セカンドソースがないものは買わない」といわれており、複数の業者から調達可能な代替品を求めます。

以上の理由等から、複数の競争環境があるなかでのシェア74%が、最も良い状態として、最終目標値として設定されています。

 

シンボル数値【42%】-安定目標値

これは俗にいう「40%独走の条件」であり、自動車やビールなどの大きな業界の会社は、この40%のシェアを取ることを目標に戦っています。

主要業界で40%を超えていると、ほとんどの場合で1位です。しかも2位を圧倒的に引き離したダントツ1位であることが多いのです。そうなると、地位が安定するので、値引きなどの消耗戦にも巻き込まれず、収益力も大幅に拡大します。もちろん、全国区だけの話ではありません。地域内シェアでも42%をとれば、自社が独走態勢となり、ほぼ勝負が着き、飛躍的に収益が上がります。

ランチェスター戦略ではこの42%をシンボル数値のなかでも、最も重視しています。

 

シンボル数値【26%】-下限目標値

26%は強者の最低条件となる割合で、当面の目標数値となります。もし、1位になったとしても、この26%を切っている場合は安定しません。2位との差が離れていないことが多く、激しい消耗戦が繰り広げられるため、あまり儲からないでしょう。

26%のシェアが安定と不安定のボーダーラインとなっており、ここを超えれば優位性をもった戦いができるようになります。

 

シンボル数値【19%】-上位目標値

19%はどんぐりの背比べの状態から一歩抜き出る基準となる数値です。ここを確保することができればようやく上位グループの仲間入りです。

競合数が多い場合などは19%で1位ということもありえますが、前述の通り、本物の強者とは呼べません。

 

シンボル数値【11%】-影響目標値

11%となると市場の中で存在感が増し、市場全体に影響力を与える存在となります。逆にいうと、その市場で目立つようになり、強者からの攻撃を受けはじめます。

叩かれることは覚悟し、これに耐えて、上位目標値の19%までが一番苦しい難所となるでしょう。

 

シンボル数値【7%】-存在目標値

シェアが7%を超えると、市場に存在が認められるようになってきます。

7%は、その市場から撤退すべきかどうかの基準とされます。

 

シンボル数値【3%】-拠点目標値

シェア3%は市場への参入段階です。

ランチェスター戦略では、3%を超えると競争戦略をとり、3%未満の場合は市場に参入する戦略(新規事業戦略)で戦うという、戦略を切り替える境目となります。

 

まとめ 

今回は、7つのシンボル数値をお伝えしました。

シェアが上がれば、売上だけではなく利益も上がります。競合局面ごとにしっかりとシェアを把握し、現状を把握しましょう。

そして、「いつ(何年後)、何%のシェアを目指すのか」、早速目標を立ててください。

 

 

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