ランチェスター戦略 3つの結論その3「足下の敵攻撃の原則」

ランチェスター戦略 3つの結論その3「足下の敵攻撃の原則」

ランチェスター戦略の「グランドルール」3つ目は「足下の敵(そっかのてき)攻撃の原則」です。自社よりひとつ下、つまり自社のシェアよりも1ランク下の足下の敵こそが、狙うべきターゲットとなるというものです。その理由と事例をご紹介します。

 

「足下の敵攻撃の原則」とは

 

成熟した市場で売上・利益を上げるということ、イコール「競合他社の売上・利益を奪うこと」に他なりません。今後マーケットが拡大する余地があれば別ですが、成熟しているマーケットであれば当然、パイの奪い合いになり、どこかが伸びればどこかが縮むことになります。

では自社の売上・利益はどの敵から奪うのが正しいのか?自社と他社の力関係で上を狙うのか、下を狙うのかどちらでしょう。

ランチェスター戦略においては「勝ちやすきに勝つ」が戦略思想であり、ひとつ下の敵、つまり自社のシェアよりも1ランク下の足下の敵こそが狙うべきターゲットとなります。

これがランチェスター戦略「3つの結論」の最後のルール

「足下の敵」攻撃の法則です。

 

このルールを忘れて失敗するケースとしてありがちなのは、大手企業が新規参入事業を始める時です。この「足下の敵」とは当然「競合局面ごとの」ということですが、新規参入したその市場では弱者なのにも関わらず、強者であるというプライドから、上位企業と張り合って惨敗するというケースです。ランチェスター戦略では必ず、これまで紹介してきた法則同様、「競合局面ごと」に頭を切り替える必要があります。

 

ランク上の敵と戦ってしまうと

 

もし、自社のシェアよりランク上の企業と無理に戦ってしまったらどうなるのでしょうか?例えば、日産のカルロス・ゴーン氏が、同社を導く前のかつての日産は、低迷の時代を長く続けていました。その原因は1ランク上のトヨタに対して、強者の戦いを挑んでいたことが要因となっていたとも言われています。なぜなら、トヨタが商品ラインナップをフルラインで揃えれば日産も同じように揃え、トヨタがディーラー5系統体制にすれば、同様に日産も5系統体制にする、といったトヨタを目の敵にするかのような戦略で全面対決を行っていたからです。

当然、シェアで劣る弱者が強者に全面戦争を起こせば、弱者が強者に勝るはずもなく、その結果、長期低迷に陥り、一時期はホンダにシェアで逆転を許すといった事態も招いてしまっていました。

日産は本来1ランク下の敵である、ホンダを攻めるべきだったのです。

このことからもビジネスの世界において、自社よりも大きな敵と戦うためには、自社の力を蓄えなければならないということは明らかです。それには強い敵との全面対決を避け、弱い敵のシェアを奪うことから始めるべきです。そして、力をしっかり蓄えたのち、強者へ接近戦・一騎打ちを仕掛けるのです。それこそが、「足下の敵」攻撃の法則であり、No.1へのプロセスになるのです。

 

「足下の敵」は誰か

 

ここで、新規参入やそもそも最下位の場合はどうすれば良いのか?という疑問が出てきます。確かに本当に最下位であれば、「足下の敵」攻撃の原則は使えないことになります。ただし、細分化してよくよく調べてみれば、往々にして勝てる局面というのは存在します。なければ撤退を検討するべきでしょう。競合局面の隅々まで見渡した時に、他社よりも秀でた箇所がひとつでもあるのであれば、その局面の「足下の敵」を攻撃すれば良いのです。

新規参入の場合であれば徹底した差別化戦略で戦います。

そしてもう1つの疑問が、単純に自社よりも弱ければ、1ランク下に拘らず、もっと下の敵を狙えば良いのではという疑問です。これは確かに下であればあるほど攻撃しやすいことは間違いありません。ただ、そのかなり下の敵を攻撃している間に「足下の敵」から攻撃される危険性はないでしょうか?

「足下の敵」は自社以上のライバル社を除く最強の敵に他なりません。もっと下を叩いている隙に、手薄になっている局面を狙われたのであれば弱者逆転が起こりえるのです。

 

結論「〈足下の敵〉を叩いて、逆転されない安全圏へ」

 

そもそも「足下の敵」を叩くことは【自社の伸び分】と、「足下の敵」の【減少分】がダブルカウントされる訳ですから、【√3倍の差】までつけてしまい、まず逆転されることのない安全圏まで到達することが定石であり、そういう意味からも最も効率的な相手とは「足下の敵」と言えるでしょう。

 

では「足下の敵」をどのように攻撃すれば良いのかというと、自社と「足下の敵」の2社間の戦いにおいては、シェアの大きい自社が強者であり、「足下の敵」が弱者です。2社間に限定しているので、総合の順位は関係ありません。自社は総合で何位であったとしても、「足下の敵」との2社間であれば自社が強者です。強者であれば、基本戦略は「ミート戦略」が原則になります。

次回は、この強者のとるべき戦略、「ミート戦略」についてお伝えします。

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